民主主義がその限界を露呈しつつある今、人々は新しい政治体制を望んでいる――。
大いなる千年王国。愛とエロスによる絶対王制。今、歴史的実験が一組の親子により進められようとしていた。
私と俺の理想郷、その名も――。
「神聖マジシン王国」
神聖マジシン王国……それはマジックとシンタローだけの蜜あふるる約束の地。
主人公の美少年スキー:字をシンタローと、その父ファーザー。
これは、ラブラブを目指す彼等親子の物語である。
国家組織図:マジック ー シンタロー間で、眼魔砲がいったりきたりする
国家の指針:互いにモテモテ
「何がモテモテだ! そんなのは、一度でも俺様にモテてから言え!」
「シンちゃん……なぜ、パパがシンちゃんにモテないかというと」
「ああ?」
「何かの陰謀だよ!」
「マジカルな生き様晒してんじゃねェ――――ッッ!!!」
「ハッ……まさかシンちゃん、私にはシンちゃんへの欲望が見え隠れしていなかったかい?」
「見え隠れというか、そういう原子で構成されてると思うが」
「フッ、シンちゃん……私たち二人で約束の地に旅に出よう! 合言葉は背徳の愛の果実。コンビ名は『求めあう心と体に嘘はつけないコンビ』。そしてまあ、今月の目標は道徳に全然とらわれない凄い愛の形。シンちゃんと共に、ささやかだがあたたかい国家を打ち立てたいにゃー」
〜マジック三つの秘密〜
一、シンちゃんが優しくする者は殺す
一、シンちゃんにいいよる者は殺す
一、シンちゃん大好き
「はりきりムカツク! 物騒なコト言ってないで、俺が美少年にモテる方法でも考えろ!」
「よしわかった! シンちゃん、モテるにはヒーローだよ! 人を超えた孤独なヒーローがいいと思う! 変身! しゅたっ!」
ジャーン! 〜マジカリオン誕生〜(当然ピンク)
マジカリオンとは、シンちゃんとその貞操を守るために生まれた強化サイボーグである!
変身前はマッチョ世界のアイドルかつベストセラー作家かつ喫茶店で働く二枚目ナイスミドルウェーター……。
変身後はシンちゃんとその貞操を守るためなら、見境なく国を潰したこともある
必殺技:秘石眼・眼魔砲(欠点:シンちゃんに嫌われる)
登場台詞:はははシンちゃん、誰も私のことなどわかりはしないんだよ? ククク破滅だよ! フッまさか私の天才と孤独が織りなす哀しさがばれましたか? いやお恥ずかしい、シンちゃんの、すっぱだかが見たいにゃー ままならん!
「……いいからアンタ、落ち着けッ! わかったから、とりあえずホホ線なぞってみろ。な?」
「私の顔のホホ線をなぞると、罪があがなわれて夢うつつ、至福が訪れて大人しくなります。ちにゃ〜」
(沈静化)
「だっだいたいアンタ、ピンクやめろよ!」
「えっ、でもシンちゃん、これは覇王の掟に基づいて」
「ピンクを着て俺様にモテようとか思うな! くっそォ、こーなったら着替えさせてやる! オラ、大人しくしやがれっ!」
「わっ、シンちゃん、やめて! やめてー乱心したか美少年スキー! ピンクを脱いだら、空間と時間の歪みに挟まれて私は……いや、全宇宙が吹き飛ぶ! 人類消滅! きゃあーっ! あっ、でも嬉しいっ! シンちゃんにさわられてる〜なめて〜ね……ねぶらせてー 私が欲しいんだろう? いざ! いざ! ホーラ! この世の中で何をしようも、まず先立つものをお許しください! 今日は世界征服を中止して、シンちゃんの身体検査をします」
(ガコーン:眼魔砲)
「チッ! 自分でやりやがれ! しかしその覇王の掟とやらは、もう少し融通がきかないのかよ? 例えばピンクはネクタイだけにして、スーツは普通の色にするとか……」
「駄目だよシンちゃん、それじゃあ何の意味もないよ。いいかい、そもそも本来の覇王の掟なら、世界は全てピンクであるべきなんだよ! 譲って赤、そして紫! だが100年前にピンク法の改正があって、ピンクは覇王が一手に引き受ける事態に」
「ンなこと、どうだっていい! アンタの言うことなんて聞いてられんー! って、総帥服が赤なのって、まさか」
「おお神よ、なぜ私には、このように呪わしい秘石眼が二つ標準装備でついているのですか? 私はつつましく生きようとしても所詮は神に選ばれし怒涛のナイスミドルなので、シンちゃんを一人占めしたいのに、花や小鳥たちも猛禽類もシンちゃんの貞操を狙ってるって訳だよ! さあ、宴もたけなわというところで、シンちゃん、両目を閉じてください。今から私が色んなおまじないをしてあげる!!!」
「……何も言わず、動くな。むしろ、しゃがめ。ホホ線なでさせろ」
「はにゃ〜(至福)」
(沈静化)
「……なんかものすごく、切ない気持ちだ。お、俺は、ただ美少年にモテたいだけなのに……ッ! ほんとに俺たちには未来はあるのか……?」
「はい、私の著作物。この『秘石と私』には、モテモテのテクニックが満載なんだよ。これを読めば美少年にモテること風の如し! 私の超能力大幸運パワーもこめてあるよ!」
「なっナンだってェ――――ッッ!!! ……だが、それ書いたアンタが、どうして俺にモテてないんだ……?」
「それは統帥事項であるからお答え出来ぬ。そんなシンちゃんの仕打ちを憐れんだゼウスのはからいで、私は天に昇って星座となった。という訳で、パパとシンちゃんだけの、うれしげな約束の地、神聖マジシン王国。二人は社会の強者です、お楽しみに!」
「自分で言うな」